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英単語を「すぱっ!」と覚える3つのコツ

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 みなさん、ごきげんよう

 英文法をマスターし英語構文を覚えても、英文読解のメソッドを習得しても、読んでいる文章が知らない単語ばかりで埋め尽くされていたら内容を読み取ることはできません。

 リスニングについてもまたしかり。知らない単語を聞き取り理解できる可能性は限りなくゼロと言えるでしょう。

 英語を習得する上での単語学習の重要性に異議を唱える人は少ないでしょう。単語は1つでも多く知っているに越したことはありません。

 しかし単語を覚えるのはなかなか骨の折れる作業です。多くの人が苦労しますし、挫折してしまう人も多いものです。

 「単語学習の重要性、分かっちゃいるけどやりたくない…」、それが多くの学習者の本音というものではないでしょうか。しかし、それでもやらねばならない単語学習、今回はそのヒントについて考えてみたいと思います。

1.覚えられない「原因」は何か?

 単語が覚えられない代表的な原因としてよく言われるのが「反復が足りない」ということです。

 たしかに反復学習は単語を覚えるために必須要件です。ですからぜひ頑張って反復してほしいと思います。

 2回や3回ではダメです。覚えられるまで何百回でも何千回でも何万回でも繰り返すのです。その覚悟を決めることは、やや根性論になるかもしれませんが、とても大切なことです。

 しかしできることならば反復の回数を少なく覚えてしまいたい、そう思うのは当然のことです。特に社会人ならば英語学習に費やすことができる時間は限られています。限られた時間で効率よく学習することは学習の継続性を高める上でも重要です。

 単語の記憶を効率的に進めるためには、「なぜ覚えられないか」を知っておくことが重要です。「なぜ覚えられないか」は「どうすれば覚えられるか」と表裏一体だからです。「なぜ覚えられないか」が分かれば、そこを修正することで記憶効率を上げることができるはずです。

2.覚えられない最大の理由はインパクト不足

 「反復の不足」以外で単語を覚えられない最大の理由の1つが「インパクトの不足」ということです。

 単語を覚えるには単語の印象をいかに強くし、記憶に刻み込むかが重要です。強烈なインパクトを持つ単語は比較的に簡単に覚えることができるはずです。

 それでは単語にインパクトを持たせることができない理由は何でしょうか。その1つが「親近感の欠如」です。親しみを感じることができない単語は覚えづらいものです。

 逆に言えば単語に「親近感」を持つことができれば楽に単語を覚えることができるようになるのです。

 そこで単語に親しみを感じ「親近感」を持つための、そして単語から受けるインパクトを強めてより効率的に覚えるための工夫を3つ挙げてみます。

3.連想化~自分の日常と結びつける~

 記憶術などでもよく用いられるのが「連想化」という方法です。

 かつて読んだある記憶術の本の中で、連想化の一例としてabstractという単語が挙げられていました。abstractを覚えるには「虻(あぶ)が抽象画を見ている」様子を思い浮かべて「abstract=抽象的」と覚えればよい、とありました。

 しかしこれは連想化でなく単なる「こじつけ」です。連想化とはできる限り自分に身近な日常と単語を結びつけることです。

 例を1つ挙げてみましょう。concealという単語があります。「隠す」という意味です。

 この単語はちょっとヒントを差し上げるとあっという間に覚えてしまう人が、特に女性に多くいます。そのヒントとは「シミやくすみを隠すときに使うアレですよ」ということです。

 女性の読者の方でピンと来た人もいらっしゃると思いますが、お化粧をするときに使う「コンシーラー」がありますね。私は化粧をしないので使ったことはありませんが、女性の方には日常的に馴染みのある化粧道具だと思います。

 このように考えるとconcealという単語が自分の日常と結びつき連想化されます。そこに「親近感」が生まれるわけです。そしてconcealという単語がインパクトを持つことによって、覚えるのが容易になるのです。

 もちろんすべての単語について連想化ができるわけではありません。しかし単語覚えに苦労しているときは、その単語につながるようなものが自分の日常にないか考えてみてください。連想化が記憶を助けてくれる場面が決して少なくないことに気付かれるでしょう。

4.視覚化~目で見て覚える~

 英単語を覚えるとき、私たちは日本語と英語を結びつけます。これは言葉と言葉を結びつけるという作業です。

 しかし本来、言語というものは「もの」や「動き」に対応して生まれたものです。言葉で定義を覚えるよりも、目で見た方がすんなりと入ってくる場合はしばしばあります。

 porchという単語を例にしてみましょう。
 英和辞書を引くと「(建物・教会などで外に張り出した屋根付きの)玄関」などと説明が載っています。
 なんだかはっきりしないので英英辞典を引いてみるとan entrance covered by a roof outside the front door of a house or churchとあります。やはりよく分かりません。
 しかしGoogleで検索し表示してみると次のような画像が出てきます。

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 一発で「これがporchか!」と分かるはずです。

 そもそも日本の家屋にはporchが付いていないことが多いので、「屋根付きの玄関」と言葉で説明を受けてもよく分かりません。それが画像を見て視覚化することで簡単に理解し単語にインパクトを持たせることができます。

 単語を視覚化するツールとしてはgoogleなどで画像検索をしてみるという方法もありますし、Pearson Japanから出版されている『Word by Word Picture Dictionary』シリーズを活用してみるもの良いと思います。

5.単純化~まずは1つの意味をしっかりと~

 この方法は学習の初期から中期段階においては有効だと私は考えています。単語を覚えるときにまずは1つの品詞、1つの意味に絞って覚えるということです。

 市販の単語帳などを見ると1つの見出し語について複数の品詞や意味が列挙されていることがよくあります。たとえばissueという単語。私の手元にある単語帳を見ると、

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 これらをすべて一気に覚えることはかなり難しいでしょう。そもそも人間の注意量には限りがありますから、それらを分散してしまうと記憶効率はどうしても落ちてしまいます。

 そこでまず覚えることを1つに絞ってしまうわけです。単語帳を使って学習するならば、まず最初に書いてある品詞と意味をしっかり覚えるようにします。そうすれば注意量を1つに集中投下できます。

 また意味を1つに絞ることで「難しい!」と「たくさん覚えるのは大変!」という感覚が薄らぎ、単語を近しく感じることができると思います。その結果、単語への「親近感」が増し、単語の持つインパクトを上げることができ、記憶効率を上げることにつながるわけです。

 ただし注意してほしいのは「この方法に固執しない」ということです。学習が進んでくると英単語を覚えるときの勘所というものが分かってきます。そうすると単語の意味を単純化して覚えるよりも、あえて複数の意味を関連付けて覚える(複合化)方が有効という場合も出て来るのです。

 学習に対するアプローチは学習段階によって変化するものです。単純化という方法は学習の初期から中期段階にかけては有効ですが、学習の進行状況に応じて柔軟に方法を変えてみてください。
 いかがですか?単語を「すぱっ!」と覚えるためのコツがご理解いただけたでしょうか?
 単語を覚えるためには反復することももちろん重要ですが、ちょっとしたことに気を付けると記憶効率がグンと上がるのでぜひ試してみてください。

6.この記事のまとめ

1.単語が覚えられないときは「なぜ覚えられないか」を考えることが大事です。
2.単語を効率よく覚えるためには単語に「親近感」を持ち、インパクトを持たせることが大事です。
3.「連想化」→単語を日常と結びつけ親近感を持つ
4.「視覚化」→単語があらわすものを目で見て親近感を持つ
5.「単純化」→覚える意味を1つに絞り単語に親近感を持つ

 最後まで読んでくださりありがとうございました。
 それではまた。ごきげんよう

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急がば回れ!? リスニング向上の前提条件

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 みなさん、ごきげんよう

 「リスニング力を伸ばすにはどうすれば良いですか?」
 そう聞かれない日はないと言っていいくらい、本当によくいただくご相談です。

 何度も同じ音声を聞き、聞こえたことを書き出していくディクテーション。
 音声を聞いて真似して繰り返してみるリピーティング。
 音声を流しながら少しだけ遅れて後からついて言ってみるシャドウイング

 リスニング力向上のために「有効」とされる方法はいろいろありますが、どれを試してもなかなかうまくいかないという人がいます。

 そこで今回はリスニング向上の前提条件について考えてみたいと思います。

1.第二言語は自然習得できるか?

 「リスニング力を上げるためにはとにかくたくさん聞きなさい」という人がいます。

 「母国語である日本語を身につける過程で、私たちも毎日のように日本語のシャワーを浴びたでしょう。それと同じようにたくさん聞いていれば、自然と聞き取ることができるようになります」という人もいます。

 しかし私たちは英語のネイティヴではありませんし、まして言語形成期を過ぎてから英語を習得しようとしているのですから、母国語である日本語を身につけたのと同じやり方で英語を習得することは難しいでしょう。

 母国語以外の第二言語を、たくさん聞きたくさん読むだけで自然習得することは100%不可能だとは言いませんが、膨大な時間がかかることを覚悟しなければなりません。

 第二言語を比較的短期間に、目標とするレベルまで向上させるには「自然に」というわけにはいきません。「意識的な」学習とアプローチが必要です。

2.リスニングは耳で行うリーディング!?

 リスニング力を向上させる前提条件としてリーディング力の向上が重要です。当たり前のことですが読んで分からないものは聞いても分からないのです。

 「耳で聞いた時には分からなかったけれど、スクリプトを読んでみたら簡単に理解できた!」という経験をお持ちの方は多いのではないでしょうか。

 逆に「文章で読んでもまったく分からなかったものが、音声で聴いたらはっきり理解できた!」という経験を持つ人はおそらく皆無でしょう。

 リスニング力を本当に向上させたければ、リスニングの練習と同じくらいリーディングの練習に力を入れるべきです。読み取ることができる内容が増えれば聞き取ることができる内容も増えるからです。

 その意味では「リスニングは耳で行うリーディング」と言うことができると思います。

 そして読み取ることができる内容を増やすためには語彙を増やすことはもちろん、文法や構文の理解も「意識的に」深めていかなければなりません。

 つまりリスニング力を本当に向上させたければ迂遠に思われるかもしれませんが、英文法の理解・習得やリーディングスキルの向上をさせることが前提条件になるのです

3.英語の処理速度を向上させる

 しかし文法をしっかりと学び読解力を向上させれば、リスニング力も自動的に上がってくるわけではありません。

 読解力の向上とともに一定程度のリスニング力はついてきますが、必ずぶつかる壁があります。

 その壁とは「英語の処理速度=スピード」です。

 前述の「聞いたときは分からなかったが読んだら分かった」という現象の根本的な原因の1つとして、英語の処理速度=スピードの問題があります。

 ゆっくりと自分のペースで読めば理解できるものであっても、自分の処理速度を超えたスピードで話されると途端に分からなくなります。

 リスニング力を向上させるためには英語の処理速度を向上させることも重要なのです。

 英語の処理速度を向上させるには単に速い英語を聞くだけでは不充分です。大切なのは自らの発信速度を上げることです。そうすれば受信できる速度も向上します。

 英語の発信速度を上げる訓練としては、

◆発音が乱れない限界の速度での音読練習
◆リーディングの練習時に必ず時間制限を設ける
◆時間を制限した上でのSelf Talking練習

などを挙げることができます。

4.限界速度の音読練習

 上に挙げた3つの中で「発音が乱れない限界速度での音読練習」は比較的簡単にできると思います。

 たとえば単語帳で勉強しているときなど、例文をただ単に黙読するのではなく、声に出して読んでみるという方は多いと思います。

 そのときにただ音読するだけでなく、発音やアクセントに気を付けながら、発音が乱れないぎりぎりの速度で音読してみるのです。

 音読し自分の声を聴くことで記憶効率も上がりますし、一般に音読しているときは黙読しているときよりも集中度が上がると言われています。実際に声に出せば英語のリズムなどもつかむことができるでしょう。

 なにより高速で音読することは英語の反射神経を鍛えるための格好のトレーニングになります。

 もちろんただやみくもに速く読むだけではだめで、英文の構造が分かった上で音読することが重要です。

 以上のようにリスニングを向上させるためには、自分自身の英語の処理速度を向上させることが大切な前提条件となるのです。

 リスニング力を向上させるためには「ただたくさん聞けば良いというものではない」ということがお分かりいただけたでしょうか?

 たくさん聞くことは大事ですが、その前に(あるいはそれと並行して)押さえておきたいポイントを頭に入れた上でトレーニングをすると、リスニング力がグンと向上します。

5.この記事のまとめ

1.リスニング力は「たくさん聞く」と「自然に」伸びるわけではありません。
2.リスニング力が伸びる前提はリーディング力の向上です。
3.英語の処理速度をあげなければリスニング力は伸び悩みます。
4.英語の処理速度を上げる方法として限界速度の音読などがあります。

 最後まで読んでくださりありがとうございました。
 それではまた。ごきげんよう

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覚える前に知っておきたい『単語覚えで大切なこと』

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 みなさん、ごきげんよう

 今回は単語覚えで大切なことについて考えてみたいと思います。

 「単語を覚えるのが好きで好きでしかたない!」
 そんな方もいらっしゃるとは思いますが、割合からすると少数派と言えるのではないでしょうか。単語覚えはやはり多くの人が苦手だったり億劫だと感じたりするものです。

 そのためか「500語覚えれば会話には困らない!」とか「単語は数よりも質が重要だ!」と主張する人もいるようです。

 「どのレベルの英語を習得したいのか」によって覚えるべき単語の数は変わってきますが、「500語で大丈夫!」とか「1000語で充分!」という考え方には私は賛同できません。その程度の単語量では不充分と言わざるを得ません。

 一方「単語は数より質が大事!」という主張は理解できるところもあります。英語を発信するという点からすれば「使えない単語」をむやみに覚えるよりも限られた単語をしっかり使えるようになる方がメリットがあると言えるでしょう。

 しかし英語は発信するばかりではなく受信する、つまり読み取り聞き取ることも必要です。一定数の単語を知っていなければリーディングやリスニングにおいて知らない単語が続出することになりスムーズな理解を妨げることになるでしょう。

 やはり単語は一定数覚えなければなりません。そこで今回は単語を覚えるときに大切なことを(多くの人は無意識にやっていることとは思いますが)基本に立ち返ってもう一度確認してみましょう。

1.五感をフルに活用する

 何かを記憶するときには一つでも多くの感覚を動員する方が良いと言われます。

 視覚、聴覚はもちろんのこと、嗅覚や味覚、触覚までも動員できれば記憶効率は飛躍的に高まることでしょう。

 単語帳を開いて見出し語を赤いフィルムなどで隠しながらひたすら単語とにらめっこ、そんな人を電車の中などで見かけることがしばしばあります。

 しかし、これではなかなか単語が体に入ってこないと思われます。視覚のみを使って覚えようとしているからです。少なくとも声に出して発音しその声を自分の耳で聞いてみる、つまり聴覚を動員して記憶を助けてあげるべきです。

 嗅覚や味覚を単語覚えに取り入れる方法としては「記憶再生」があります。
 たとえばtart(酸っぱい)という単語を覚えるときは熟れかけのリンゴを食べた時の酸味を思い出しながら発音してみるとか、acidulous(酸味のある)という単語を覚えるときはうっかり洗濯し忘れたシャツのにおいを思い出してみるとか(あまり思い出したくはないでしょうが…)すれば、記憶の定着を促進してくれるでしょう。

 私は単語のアクセントを覚えるときに触覚を取り入れることがよくあります。単語を発音しながらアクセントのある部分で手を振ってみたりポンと足踏みしてみたりするのです。すると比較的簡単にアクセントの位置を体に入れることができます。

 以上のように目で覚えるだけでなく、できるだけ多くの感覚を動員することが単語を覚えるときに必要な基本的アプローチなのです。

2.発音記号を必ずチェックする

 発音できない単語を覚えるのは至難の業です。単語を覚える第一歩はその単語を正しく発音できるようになることです。

 発音は二の次のしてとりあえずスペルを覚えようとする方がときどきいらっしゃいますが、これは記憶の面からみても大変非効率ですし、そのような覚え方をした単語はスピーキングやリスニングでまったく役に立ちません。

 ネイティヴさながらの完璧な発音は難しいとしても、最低限のクオリティの発音を身につけておかないとせっかく覚えた単語も宝の持ち腐れということになりかねません。

 ある程度正しい単語の発音を身に着けるためには、発音記号を読めるようになる必要があります。今日の電子辞書や辞書アプリなどは音声再生機能が標準装備されていますが、耳で聞くだけで正しい発音を身に着けるのは困難です。

 やはり発音記号が読めるようになった上で、その発音記号を参照しながら耳で聞き、後について声に出しリピートしてみる方が良いでしょう。

3.アクセントの位置も忘れずに

 発音とともにチェックをしておかなければならないのがアクセントの位置です。

 英単語を構成する要素としては「音」と「アクセント」があります。どれだけ正しい「音」で発音しても、アクセントの位置を外してしまうと途端に通じなくなってしまうことがあります。

 アメリカのある大学が単語における音とアクセントについて面白い実験をしたことがあるそうです。

 potato【pətéɪṭoʊ】という単語を、正しい音でアクセントの位置をずらして発音した場合と、音は崩して正しいアクセントで発音した場合、どちらがネイティヴスピーカーに理解してもらえるかという実験です。

 結果は「音は崩して正しいアクセントで発音」した場合の方がより多くのネイティヴが理解することができたそうです。このことからもアクセントの重要性がよく分かります。

 単語を覚えるときはアクセントの位置もおろそかにせずに、きちんとチェックしておくことが重要です。

4.共起表現を確認する

 共起表現とは簡単に言えば「よく一緒に使う単語」ということです。単語を覚えるときは共起表現にも目を向けてみると記憶効率が高まると思います。

 たとえばtremendous「ものすごい・巨大な」という単語を覚えるとき、よく一緒に使われる共起表現も調べてみます。するとsuccess、amount、growthなどがよく一緒に使われることが分かります。

 このように一緒に使われる単語を知ることは、覚えたい単語のイメージを膨らませる上で役に立ち、結果として単語を覚えやすくしてくれます。

 例文と一緒に単語を覚えるのも有効な方法ですが、時間がないときは一緒によく使われる表現だけでもおさえるようにすると良いでしょう。

 共起表現を知りたいときにはウェブ上やアプリで利用できるWeblio英辞郎を活用すると簡単に調べることができます。

5.覚える目的を明確にする

 中上級レベルに差し掛かってくると特に大事なことですが、単語を覚える目的を明確にしなければなりません。

 覚えようとしている単語は自分が英語で発信するときに使うべき単語なのか、リーディングやリスニングをするときに受信できればいい単語のなのかをはっきりさせることが大事です。

 発信で使う必要がある単語ならば、語法やコロケーション(よく一緒に使う単語の組み合わせ)までも意識して覚える必要があるでしょう。

 受信できればよい単語ならば発音・アクセント・意味の3点をしっかりと覚えておけば事足りるでしょう。

 どのような目的でその単語を使うかを明確にすることで、必要とされる記憶の深度を決めることができます。するとその単語の習得にどれくらいの時間や労力を割くべきかも分かってくるはずなので学習をより効率化できます。

 今回は単語を覚えるときに大切なことのうち特に基本的な事柄を取り上げてみました。

 単語を覚える方法やコツについてはまだまだお伝えしたいことがありますが、それらについてはまた別の機会にご説明したいと思います。

6.この記事のまとめ

1.単語を覚えるときに大切なことを知っておきましょう。
2.五感をフルに活用して覚える。
3.発音記号を必ずチェックする。
4.アクセントの位置も忘れずにチェックする。
5.共起表現を一緒に確認する。
6.単語を覚える目的を明確にする。

 最後まで読んでくださりありがとうございました。
 それではまた。ごきげんよう

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英会話の習得に英文法学習は必要か?~後編~

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 みなさん、ごきげんよう

 今回は前回に続いて「英会話の習得に文法学習は必要か?」について考えてみます。

 前回の記事では英文法不要論の主張について点検し、その主張が説得力に欠けると結論付けました。その上で「英文法は不必要ではないから必要」というのでは説明にならないとも書きました。

 そこで今回は英会話の習得に文法学習が必要な積極的な理由について考えます。

1.演繹的学習法と帰納的学習法

 学習には演繹(えんえき)的方法と帰納的方法があります。

 演繹的方法とは「1つのルールを学び、それを個々の事例に当てはめる」やり方です。

 帰納的方法とは「個々の事例から1つのルールを導き出す」やり方です。

 それぞれのアプローチを現在進行形という文法項目を例にして考えてみましょう。

 S + be + Ving「SはVしている」(現在の進行中の動作)
 ↓
 I am studying English.「私は英語を勉強している」
 He is cooking dinner.「彼は夕食を作っている」
 They are discussing the project.「彼らはそのプロジェクトについて議論している」

 上記のようにまずルールを学び、そのルールに従って個々の場面を表す英文を作っていくのが演繹的学習法によるアプローチです。一方で、

I am studying English.「私は英語を勉強している」
He is cooking dinner.「彼は夕食を作っている」
They are discussing the project.「彼らはそのプロジェクトについて議論している」
 ↓
 S + be + Ving「SはVしている」(現在の進行中の動作)

 このように1つ1つの具体例をまず学び、そこから1つのルールを導き出すのが帰納的学習法によるアプローチです。

2.演繹と帰納のどちらを選択すべきか?

 演繹的学習法と帰納的学習法にはそれぞれのメリットがありますが、学習効率という観点からすれば演繹的学習法が優れていると言えるでしょう。

 帰納的学習法的なアプローチをとると「習うより慣れろ」的な傾向に陥りがちです。
 たしかに「慣れる」ことは英語の習得において非常に重要な要素です。しかし理論的な学習をすることなく、英語を充分に使いこなせるレベルまで「慣れる」ためには英語に触れる膨大な時間が必要です。

 しかし英語を学んでいる人の多くが、英語の学習にのみ没入できる環境にはいないはずですから、「慣れる」ことで英語を習得するだけの時間を確保することができないと思います。

 そこで「一を知って十に当てはめる」という演繹的学習法と採用する方が、限られた時間の中で英語を効率的に習得するためにはふさわしいと言えるでしょう。

3.演繹的学習にはルール=文法の習得が必須

 演繹的学習法を採用するとなるとルールの習得が重要になります。そして、このルールに当たるものが英文法なのです。

 英文法の学習が必要なのは英文を構成するための基本的なルールを学び、学習を効率化するためです。

 私たちが母国語である日本語を習得する過程は、ある意味で帰納的学習法と言えるでしょう。大量の日本語のシャワーを浴びることで、知らず知らずのうちに「こういう時にはこういう表現を使う」というルールを習得しているのです。しかも母国語においては習得したルールを「ルール」であると意識することすらありません。

 このようなやり方で「自然と」ルールを習得するには膨大な時間がかかります。私たちが、たとえばビジネスミーティングやプレゼンテーションなどの場で発信するに足る、ある程度高度な日本語を駆使できるようになるのは何歳くらいでしょうか?10歳やそこらではとても無理なことです。

 短期間で効率的にある程度のレベルまで英語を習得しようとするとルールを「意識的」に学習する必要があります。その意識的なルールの習得こそ英文法の学習なのです。英会話の習得のために文法学習が必要なのは短期間で効率的に英語を習得するためなのです。

4.学習の目的に応じて臨機応変

「英語習得の効率を考えると演繹的学習法を選択すべき」
 →「演繹的学習法を選択する以上は英文を作るルールの習得が必要」
 →「英文のルールに当たるのが英文法」
 →「英語の効率的習得には英文法学習が必要」

 ここまではこのような論理で英文法学習が必要だという主張を進めてきました。

 ここで立ち止まって考えてみたいのは「学習には目的がある」ということです。英語を何のために使いたいかという目的によっては英文法学習をしなくてもよい場合もあるでしょう。

 たとえば海外旅行した時に、入国審査やホテル、レストランなどで最低限の会話だけできればよい、という人は無理に文法を勉強する必要はありません。よく使われる表現やフレーズを何回も練習し、口からすらすらと出てくるようにしておけば事足りるでしょう。

 しかし多くの学習者がゴールとするところはもっと先だと思います。

 「テレフォンカンファレンスで相手の意見を聞き取り自分の意見も主張する」とか「ネイティヴとの日常会話を不自由なく楽しみたい」とか、そのようなレベルにできる限り早く到達するためには、やはり文法学習は必要だと言えます。

 大切なことは学習の目的、到達したいレベル、到達までの時間的制約など学習環境や条件に応じて学習に対するアプローチを臨機応変に変えていくということです。

 

 いかがでしょうか?英語の習得において英文法学習が必要な理由にご納得いただけたでしょうか?

 もちろん英文法の学習はただ文法書を読めばよい、問題を解けばよいというものではありません。

 英語の実力を効率よく高めるための英文法学習法については、別の記事でご説明したいと思いますので、そちらも参照してみてください。

5.この記事のまとめ

1.学習には演繹的学習法と帰納的学習があります。
2.演繹的学習法はルールを学び、それを事例に当てはめる方法です。
3.英語を短時間で効率的に習得するには演繹的学習法を選択すべきです。
4.演繹的学習法で学ぶ英文構成のルールが英文法です。
5.よって短期間で効率的に英語・英会話を習得するには英文法学習が必要です。

 最後まで読んでくださりありがとうございました。
 それではまた。ごきげんよう

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英会話の習得に英文法学習は必要か?~前編~

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 みなさん、ごきげんよう

 今回は「英会話の習得に文法学習は必要か?」について考えてみたいと思います。

 「英会話の習得に英文法学習は必要か不必要か?」長きにわたって議論されているテーマです。インターネットで検索してみると文法必要論・不要論の双方がそれぞれの主張を展開しています。

 結論から言いますと、私は第一言語形成期を過ぎた日本語ネイティヴが英語・英会話を習得するにあたって、英文法の学習は非常に有効だと考えています。その詳しい理由は「英会話の習得に文法学習は必要か~後編~」でご説明するとして…。

 今回はまず英文法不要論の主張について考えてみたいと思います。
 「英会話ができるようになるために英文法の学習は不必要だ!」と主張する人たちがその根拠として挙げる事柄に着目し、それらが正しいかどうかを考えてみることにしましょう。

1.ネイティヴは文法を意識しない!

 英文法学習は不要だと唱える人の多くが「ネイティヴは英文法なんて意識しなくても話せるじゃないか!」と主張します。

 しかしこの主張は完全に的外れです。そもそも私たちはネイティヴではありません。

 生まれ育った言語環境や文化背景の違いをまったく無視して、「ネイティヴが文法を意識しないから私たちも意識しなくて良い」「文法など学ばなくてもネイティヴと同じように英語が使えるようになる」と考えるのは無理があると言えるでしょう。

2.日本人も日本語の文法なんて意識しない!

 たしかに日常的な会話で日本語文法を意識することはないかもしれません。しかし日本語ネイティヴだって文法を意識することは大いに意味のあることです。

 文法に意識的な人の日本語は非常に分かりやすく明瞭です。魅力的で説得力のある講演やプレゼンテーションは日本語文法を意識して構築されていることがよくあります。

 また大学受験の現代文を指導する教師の中には、日本語文法を援用することで正確な読解ができるようになると唱える人もいます。

 印象の良い日本語を使おうとすれば日本語ネイティヴだって日本語文法を考えることが有効になることもあるのです。

3.ノンネイティヴでも文法を学ばずに話せる人がいる!

 たしかにノンネイティヴの中には英文法を学習することなしに一定レベルの英語を話せるようになる人もいます。

 言語学ではそれぞれ言語の歴史や共通性などに基づいて言語を系統分類することがあります。「語族・語派・語群」などと呼ばれるこれらの分類によると、お互いに近しい関係にある言語があることが分かります。

 分類的に英語と近い言語を母国語とするノンネイティヴたちは、自分の母国語と英語の間に多くの共通点を見出すことができ、結果として文法を体系立てて勉強しなくてもある程度話せるようになる可能性はあります。しかし、そういう人たちと私たち日本語ネイティヴを同じに扱っていいはずがありません。

 ちなみに私たちの母国語である日本語の系統分類は、現状では日本語族・日本語派に分類されています。つまり日本語はそれだけで独立した一派をなしている、世界の他の言語と比べてみても非常に特異な言語だということになります。

 そんな特異な言語を母国語とする私たちです。他のノンネイティヴが文法を勉強しないから私たちも文法の勉強はしなくても良いという結論は導き出せません。

4.英語の語順通りに理解すれば文法は要らない!

 英語を英語の語順のまま理解しようとするやり方をアローイングリッシュ(Arrow English)と言います。矢(arrow)のように一直線に理解しようということですね。

 その重要性については私も理解できますし賛成もできます。しかし物事には順序と段階というものがあります。

 中上級者になったのにいつまでも日本語と同じ語順で英語を理解しようとするのは感心しませんが、初期の段階では分析的読解というアプローチも必要です。

 私の友人がアローイングリッシュの有用性を熱心に語ってくれたことがあります。そのとき彼が例に出したのがアーノルド・ロベル著『がまくんとかえるくん』という絵本の一節でした。

Frog ran up the path to Toad’s house. He knocked on the front door. There was no answer.

 アローイングリッシュ的アプローチではこの英文を以下のように読むことになります。

「かえる、走った、あがる、小道、ガマの家。彼、ノックした、前、ドア。そこに、あった、ない、返事」

 たしかに言わんとすることはなんとなく理解はできるでしょう。
 しかし、私たちが理解できるようになりたいのは子ども向けの絵本レベルの英語でしょうか?上の文章が英語の順番通りに理解できたからといって文法を勉強しなくてよいという根拠になるでしょうか?

 もう1つ例を挙げてみましょう。アローイングリッシュの考え方で英語の語順で考えてみてください。

I don’t know what he had to do with the accident.

「私、しない、知る、何、彼、持つ、に、する、一緒に、その、事故」

 単語は難しくないはずですが言わんとしていることが分かりますか?

 詳しい説明は割愛しますが、これは「私には彼がその事故とどういう関係あったのか分からない」という意味です。

 たとえ簡単な単語ばかりの文章でも文法をきちんと学習していないととんでもない読み違いをしてしまうことがあるのです。

 英語を英語の順番通りに理解することは確かに意味のあることですが、その方法を用いるのは一通り文法を勉強し、実力をつけてからにするべきです。

5.中学から文法を勉強したのに話せるようになっていない!

 たしかに中学から高校までの6年間、英語の授業で文法を習います。しかし英語を駆使できる日本人の割合はごくわずかです。

 しかしこれもまた文法の勉強が不要だという根拠にはなりません。これは次回の記事で詳しく説明しますが、文法は英会話の必要条件ではあっても十分条件ではないのです。

 つまり英文法を学習し理解したからといって、それだけでは英語を話せるようにはなりません。その英文法をいかに使いこなすかの訓練が必要なのです。その訓練をしないから英文法を勉強したけれども話せるようにはならないという現象が生じるのです。

 従来の日本の英語教育はインプット偏重でした。文法のルールを覚え、単語を覚え、読解を重視するものだったのです。手にした知識を使いこなすアウトプットの場を充分に確保していなかったのです。

 インプットとアウトプットは言語習得の両輪です。両方が上手く機能して初めて言語を使いこなせるようになるわけです。学校教育の英語はアウトプットが機能していないので英語を話せるようにならなかっただけで、文法を勉強したことが話せるようにならない原因ではありません。

 以上、英文法不要論でよくある主張を1つずつ見てみました。こうして考えてみると、英文法不要論は説得力に乏しいことが理解いただけるのではないかと思います。

 それではなぜ英文法の学習は必要なのでしょうか?「不必要ではないのだから必要だ」というのでは説明になりませんよね。

 次回は英文法を勉強すべき積極的な理由について詳しく説明したいと思います。

6.この記事のまとめ

1.「英会話には文法学習は要らない」という英文法不要論があります。
2.英文法不要論の主張の多くが説得力に欠けるものです。
3.英語・英会話の習得には文法学習が必要です(後編を参照)。

 最後まで読んでくださりありがとうございました。
 それではまた。ごきげんよう

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実力アップに欠かせない! 目的と目標の設定方法

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 みなさん、ごきげんよう

 今回は「目的と目標」について考えてみたいと思います。

 「目標があった方がいいと思うのでTOEICでも受けてみようと思うのですが…」といったご相談を受けることがしばしばあります。

 たしかに英語の勉強を進めるにあたって、目標がある方がモチベーションも上がり、成果が出やすいように思われるかもしれません。

 しかし「とりあえずTOEICでも…」と言った方で所期の目標スコアに予定通りに到達した人を私はほとんど知りません。

 英語の学習において目標を持つことはとても大事です。しかしもっと大事なのはどのような目標をどのように設定するかということです。

 それでは効果的な目標の設定方法について考えてみることにしましょう。

1.「目標」は「目的」のもとに存在する

 「とりあえずTOEICでも…」という目標が機能しないのはなぜしょうか?それは目標の前段階にあるはずの「目的」が検討されていないからです。

 目標は単独では存在しないと私は考えています。英語を学ぶ目的、身に着けた英語を使って何をやりたいのかという目的がまず存在するはずです。

 その目的を果たすためにはどのようなレベルの英語を身に着けるべきか、それレベルの英語を身に着けるためには何をすべきかが順番に明らかになり、そこで初めて目標が設定されるはずです。

 このような目的意識を欠いた目標には実質が伴っていません。

「とりあえずTOEICでも…」という目標には実質がないのです。そして実質のない目標には達成の必要性がないので、英語学習が難所、切所に至ったときに「踏ん張り」がきかず、結局のところ目標を到達することができないのです。

 「とりあえず…」の目標を立てた人は、意識的にせよ無意識的にせよ、心のどこかで「この目標は実は到達する必要性がない」と感じているものではないでしょうか。そのひっかかりのようなものが目標到達を困難にする原因になっていると思われます。

2.まず英語を学ぶ「目的」を考えてみる

 上のような考えに立ってみると、まず英語を学ぶ目的をちゃんと考え検討しておくことが重要だということになります。

 目的を考えるときに大切なのはできるだけ具体的なイメージを持つということです。

 たとえば「ビジネスで使えるように英語を学ぶ」という目的を持っている人と、「ビジネスミーティングで相手の意見を聞き取り、自分の意見も言えるようになるために英語を学ぶ」という目的を持っている人では、学習をどう進めるかという指針の具体性に違いが出てきます。

 英語を学ぶのは何のためかという目的を考えておくことで、学習へのアプローチが明確になり成果を上げやすくなるわけです。

3.「目的」は段階的に考える

 目的と考えるときは段階的に考えていくとよいと思います。

 まず大目的を考えます。「ビジネスで使う」「旅行で使う」「友達と会話する」など、この段階の目的はある程度アバウトでよいでしょう。

 次にもう少し具体的な中目的を考えてみます。ビジネスを例にとってみると「ミーティングで使う」「商談で使う」「プレゼンで使う」などです。中目的は英語を使う場面を想像してみると設定しやすくなると思います。

 最後にかなり具体的な小目的を考えてみます。ビジネスミーティングで英語を使うという前提で考えてみると、どんなことが議題となるミーティングなのか、どれくらいの頻度で開かれるのか、対面ミーティングかテレフォンカンファレンスか、相手の意見を聞き取るのが主か、自分の意見を言うのが主か、できるかぎり具体的に考えてみましょう。

 小目的を考えるときはいわゆる5W1H(いつ、どこ、だれ、なに、なぜ、どのように)を目安にして考えてみるとよいでしょう。

4.「目的」の変化には柔軟に対応する

 気を付けておきたいのが、中目的や小目的は変更される可能性が多分にあるということです。大目的が変わることもありますが、中目的や小目的はその時々の状況に応じて変化していくことがよくあります。

 英語を学ぶ目的が変わったとしても、学習に対する基本的なアプローチが劇的に変化することはないかもしれません。しかし学習のアクセント置き方は変化すると思いますし、目的が変わればモチベーション管理の方法も変わってくるでしょう。

 目的が変化しそうなときは柔軟に対応することが必要です。最初に決めた目的に固執する必要はありません。新たな目的について少し時間を取って考えてみるとよいでしょう。

 一度決めたら最後までやり通すことは美徳とされますが、学習の目的については状況に応じて柔軟に変更・再検討してみることが重要です。

5.目的が定まれば目標も決まる

 何のために英語を勉強するのかという「目的」が定まれば「目標」も決めやすくなります。

 「金融商品のビジネスミーティングで英語を使う」という目的で勉強する人ならば、ミーティングでよく使う表現を覚えたり、金融関係の単語を覚えたりすることが必要になります。

 もちろん特定の分野に特化した訓練が成果を発揮するための前提条件として、基本的な英語力は欠かせませんから、英文法や一般的な単語の習得も必要となるでしょう。

 英語を使う目的に近づくためにクリアすべき課題、それが目標です。ただぼんやりと「とりあえず…」的な雰囲気の中で決まるものではありません。

6.目標はsmall stepsに落とし込む

 中長期的な目標を持つことは学習全体のロードマップを作る上で重要です。しかしそれをより実のあるものにするためにはsmall stepsに落とし込むことが欠かせません。

 たとえば「外資系に転職する」という目的を果たすため、「TOEICで800点を取る」という目標を立てたとします。

 しかしこれでは目標がアバウトすぎます。目標はアバウトになればなるほど到達可能性が低下します。

 いつまでに800点取るのか、そのためにはいつまでにどの分野をどのレベルまで引き上げる必要があるのか、そこまで落とし込まなければなりません。

 すると目標を達成するために「〇月〇日までには英文法の□□の項目をマスターしなければならない」「×月×日までには単語帳の△ページまで覚えなければならない」という小さな到達目標が設定されるはずです。

 この小さな到達目標を1つずつクリアしていくことが中長期目標の達成につながり、中長期目標の達成によって、目的を果たすために必要な英語力が身についていく。これが理想的な学習サイクルです。

7.目標設定における「あそび」の時間

 せっかく立てた目標が到達できないまま計画倒れに終わってしまう人もいます。

 そんな人たちを「意志薄弱」と切り捨てるのは簡単ですが、大事なのはなぜ目標が達成できないかを考えることではないでしょうか。

 目標が到達できない理由の1つは目標に実質が伴っていないということで、これはすでに述べました。

 もう1つの原因として「あそび」の時間が作られていないということがあると思います。

 「あそび」の時間とは単なるリラックスタイムということではありません。「あそび」の時間とは「予備時間」という意味です。

 社会に出て働きながら、また家庭の用事をこなしながら学習を進める場合、どうしても不測の事態は生じます。急な残業だったり、子どもが熱を出したり、それで予定が狂ってしまうことがあります。

 その狂った予定を取り戻すための予備時間、それが「あそび」の時間です。

 この「あそび」の時間を作っておかないと、何か1つ予定が遅れ目標到達が難しくなると、その後はどんどん歯車が狂っていきます。そして計画の狂いや乱れはモチベーション低下の大きな要因となってしまいます。

 「あそび」の時間は気持ち多めに取ってあげるとよいでしょう。そしてその週はすべてが予定通りに行き、「あそび」の時間は必要ないとなったら、その時間で学習を先に進めるもよし、復習の時間に充てるのもよし、文字通り「遊び」に出かけてもよいと思います。

 

 いかがでしたか? 目的と目標の関係性や設定の方法について参考にしていただけたでしょうか?

 目的や目標は人によってそれぞれです。特に目標は「立てては挫折し」を繰り返すこともあるでしょう。そんなときは思い切ってすでに立てた目標を一度捨て去ってみることも大事です。

8.この記事のまとめ

1.「目標」を立てる前に英語を学ぶ「目的」を考えることが重要です。
2.「目的」は大中小の三段階で考えてみましょう。
3.「目的」に応じて「目標」を考えてみましょう。
4.「目標」はsmall stepsに落とし込みましょう。
5.「目標」到達のためには「あそび」の時間も重要です。

 最後まで読んでくださりありがとうございました。
 それではまた。ごきげんよう

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遅すぎるなんてことはない!? 英語学習と年齢の関係性

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みなさん、ごきげんよう

 「いまさら勉強を始めても、もう手遅れでしょうか?」
 「自分の年齢だと、これ以上の上達は望めないでしょうか?」

 このようなご相談をいただくことがしばしばあります。

 何か新しいことに挑戦しようとするとき、さらなる高みを目指して踏み出そうとするとき、「年齢」という要素は多かれ少なかれ気になるものですよね。

 社会人を対象とした英語学校(30代後半以上の生徒が多いそうです)で指導している私の知人は、最初の授業で生徒たちに次のように言うそうです。

「みなさんは若いころに真剣に英語を勉強しなかったから、いまこの場にいるのでしょう。英語の習得は年齢とともにどんどん難しくなりますが、しかたありません。若い頃に怠けたツケを払うつもりで必死になって勉強してください!」

 しかし彼の言葉は本当でしょうか?年齢とともに言語の習得は加速度的に困難になるのでしょうか?今回は英語学習と年齢の関係性を考えてみたいと思います。

1.「臨界期」という考え方

 臨界期(Critical period)という言葉をご存知でしょうか。ある技能を習得するために最も適している時期、逆に言えばそれを過ぎると技能の習得が難しくなる時期を「臨界期」と呼びます。

 英語も技能である以上、臨界期が存在すると考えられてきました。さまざまな説が唱えられていますが、12歳~15歳あたりで線引きをすることが多いように思われます。そしてこの年齢を過ぎると言語習得は難しくなると考えられています。

 この臨界期の考え方は幅広く信じられているようで、「自分の年齢ではもう…」と言語学習に二の足を踏む人は少なくありません。

 またせっかく学習を始めたのに「この年齢だから…」と英語の伸びをあきらめてしまう人にもしばしば出会います。

2.臨界期は仮説にすぎない!

 しかし臨界期は科学的に証明されたものではありません。ですから、臨界期に関する考え方は正確には「臨界期仮説」と呼ばれます。あくまで「仮説」であって実証された理論ではないのです。

 実際に臨界期を過ぎてから英語学習を始めて高度な英語力を身に着けることに成功した人は数多く存在します。40代、50代から学習を始めて目標とするレベルに到達することができたという人も多々存在します。

 「臨界期仮説は『俗説』だ!」とまでは言いませんが、少なくとも言語習得を断念したり上達に見切りをつけたりする根拠にはならないと言えるでしょう。

3.目指すゴールは「ネイティヴ」ではない!

 そもそも臨界期仮説はその言語のネイティヴになることを前提としたものです。たしかに「ネイティヴになること」を目標とするなら、いわゆる「臨界期」より前に学習を開始することが必須かもしれません。

 ところが、学習者の目標は「ネイティヴになること」ではないと思います。英語を用いてネイティヴを相手に必要にして充分なコミュニケーションを取ることができれば良いはずです。

 ノン・ネイティヴでありながらネイティヴにほぼ匹敵する言語運用能力を習得した人のことをニア・ネイティヴと表現することがあります。

 いわゆる「臨界期」を過ぎて英語の学習を開始しニア・ネイティヴの域に達している人は一定数存在します。

 その割合は調査や分析方法によっても異なりますが、カナダのMcGill Universityで調査研究を行ったLydia WhiteとFred Geneseeは、12歳以降に英語学習を始めた人の中でニア・ネイティヴの域に達している学習者が約35%存在したという結果を報告しています。これはかなり勇気づけられる研究結果ですよね。

 このように考えると、ニア・ネイティヴを目指して学習するならば臨界期は絶対的な障壁にはならないということが分かります。「自分の年齢ではもう…」などと悲観することはないということです。

4.年齢よりも大切なこと

 英語学習が成功するか失敗するかについて大切なのは年齢ではありません。年齢という要素がまったく無関係だとは言いませんが、それがすべてではありませんし、上達しない理由を年齢に求めることはまったく生産的ではありません。言うまでもなく年齢を元に戻すなんてことはできないのですから。

 では英語の習得において年齢よりも大切なものとはなんでしょうか。ここでは特に大切だと思われることを3つ挙げておきたいと思います。

(1)目的と目標を設定する

 第一に目的と目標をきちんと設定することです。

 前述のとおり「ネイティヴになる」ことを目指すならば年齢は大きな意味を持つことになりますが、それを目指す人は多くはないでしょう(そもそも学習を通してネイティヴになるのは不可能ですが…)。

 大切なことは英語を学習する目的を明確にすることです。目的が明確になれば目標が定まります。その目標に向けて着実に進んで行くことの方が、学習成果を上げるためにはずっと重要だと言えます。

 目的と目標の設定方法についてはまた別の機会に詳しくご説明したいと思いま

(2)最適な学習方法を選択する

 目的が定まったら目標が定まります。目標が定まったらそれを達するために必要で最適な学習方法を選択することが大切です。

 英語力の土台を築くための学習は多くの人に共通する内容になると思いますが、レベルが上がってくればくれほど、個々人の目的や目標にふさわしいアプローチが必要になります。

 また日本語ネイティヴならではの学習方法ということも考慮する必要があるでしょう。日本語ネイティヴである私たちとネイティヴは文化的背景や思考回路が異なります。ネイティヴとまったく同じ方法で英語を習得するのは限りなく難しいのは当然のことです。

 日本語ネイティヴに合った学習方法を選択することも成功のためには重要なカギと言えるでしょう。

(3)学習をコツコツ継続する

 目的や目標を設定し、最適な学習方法を選択したとしても、その学習を継続しなければ効果は上がりません。

 英語の習得に失敗している多くの人が学習を断続的に行っているようです。つまり学習を「やったりやらなかったり」という状態に陥っているということです。

 英語はスポーツと同じだと言われることがしばしばあります。スポーツは1日練習を休めば3日分後退するなどと言われることがありますが、英語も同じです。特にある程度の英語力が着くまではいかに学習を継続させられるかが重要です。

 学習を継続させるための工夫についてはまた別の機会にご紹介したいと思いますが、とにかく毎日、コツコツでも学習を続けなければ、英語力を身につけることはできないのです。

 

 今回は英語の勉強と年齢の関係性について考えてみました。

 たしかに年齢を重ねるにつれて記憶力や集中力が減退することはあります。また職場ではより責任ある立場となり、家族のこともケアしなければならないなど、自分だけの時間がとりづらくなるのも事実です。

 しかしその一方で人間は年齢とともに理解力と知恵を発達させます。このような要素をうまく活用することも、年齢に関係なく英語を習得するためには大切です。

 そして最も大切なこと、それは「自分の年齢では…」というネガティヴなマインドセットを捨て去ることです。「やる!」と決めた以上は自分を信じて前を目指して進むことが重要です。

5.この記事のまとめ

1.「臨界期」は仮説に過ぎず実証された理論ではありません。
2.臨界期を過ぎて学習を始めてニア・ネイティヴの域に達している人は一定数存在します。
3.ニア・ネイティヴを目指すなら学習は絶対的な障壁とは言えません。
4.英語学習を成功させるには年齢よりも大切な要素があります。
5.その要素とは「目的と目標を設定する」「最適な学習方法を選択する」「学習を継続する」の3つです。

 最後まで読んでくださりありがとうございました。
 それではまた。ごきげんよう

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