英語学習応援ブログELA~English Learners' Assembly~

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当てはまっていませんか?伸びない人の共通点

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 みなさん、ごきげんよう

 私はいままで学生、社会人を合わせておそらく2万人以上の方に英語をご指導してきました。

 今日はその経験から私が考えている「伸びない人の共通点」についてお話ししたいと思います。

 英語学習が上手くいっている人の成功例を検討してみることもとても意味のあることですが、逆に上手くいっていない人の事例を見てみることも参考になると思うからです。

 できるだけネガティヴにならないように書くつもりですが、お気に障る記述がありましたら広いお心でご容赦を。

 それではさっそく見てみることにしましょう。

1.自己流にこだわりすぎる

 学習を進める上で自分自身のスタイルを作ることはとても大事です。

 しかし最初の段階では提示された方法にいったん乗っかってみることも大切ではないでしょうか。口幅ったいようですがまずは「素直に」言われた通りにやってみること、その上で自分に合うように方法を修正していくことが成功のカギのように思われます。

 数年前のこと、ある方が私のご指導している学校に入学されました。
 その方は今まで自分なりの方法で5年ほど勉強をしてきたけれども成果が上がらず、学校に入って来られたのです。5年も勉強してTOEICが500点になるかならないかの方でしたから、英語教師の目から見れば学習方法が間違っていると言わざるを得ないような方でした。

 初回授業の時、宿題のやり方や学習の進め方をご説明していると、その方は「やり方は分かりました。でも自分のやり方で宿題を進めてもいいですか?」とご質問されました。

 年齢が私よりも少し上の方でしたし、自分のやり方にプライドがあるのだろうとは思いましたが、同時に「これでは伸びないな…」と感じました。そこで、できるだけやんわりと「まずはご提示した方法を試してみてもらえませんか?」とお願いしましたが、残念ながらその方は聞く耳を持ちませんでした。

 はたしてその方は数週間後には「自分のやり方を貫きたい」という理由で休学に入り、その後、学校には戻って来られませんでした。

 のちに入学された同僚の方かた聞いたところによると、その方は結局英語力が伸びず、TOEICが目標のスコアに達することもなく、希望のポジションに就くこともできなかったそうです。

 自分に合わない方法に固執するのも考え物ですが、自分流にこだわりすぎて視野が狭いまま学習を続けるのもデメリットが大きいものです。まずは言われた通りにやってみるという受容力が必要だと言えるでしょう。

2.学習にオリジナリティがまったくない

 先に書いた内容とまったく反対になりますが、学習にオリジナリティがまったくない人も伸び悩むように思われます。

 学習効果を上げている人の多くは、まず提示された方法を試してみて、適宜自分に合うように工夫を凝らしているものです。

 当然ですが人はそれぞれ違います。10人の人がいればその10人全員に100%当てはまる有効な方法というのは簡単には見つかりません。学校などで提示される学習法は最大公約数的なもので、極力多くの人が成果を出せるようご指導するのですが、部分的には自分に合わないところもあるでしょう。

 そこを自分なりに工夫してみる、自分に合うようにマイナーチェンジしてみることはとても重要です。

 たとえば「これらの文章を10回音読してみてください」とご指導したとして、成果が上がる人はそれを杓子定規に守るのではなく、ちょっと工夫されるものです。

 つまり自分になじむ、覚えやすい文章は5回だけ音読する、覚えにくい文章や親近感の湧きにくい文章は20回音読してみる。これだけも学習にオリジナリティが加わっています。

 学習にオリジナリティがない人は3回音読すれば体になじむ文章もちゃんと10回音読し、身についていない文章も10回の音読で済ませてしまうということになりがちです。

 まずは言われた通りにやってみて、その上で自分なりの学習方法を考えること、自分の学習にオリジナリティを持たせることも英語力を伸ばす上で大切な要素なのです。

3.自分の頭で考えない

 先の「オリジナリティ」の話にも通じますが、自分の頭で考えることをしない人は相当伸び悩みます。

 以前、ある生徒が「私は腹ペコです」という意味の「I could eat a horse.」という表現について質問に来られたことがあります。

 「どうしてcouldを使うのですか?」というご質問でしたが、お答えする前に「辞書を引いてご覧になりましたか?」と尋ねてみると「引いてません」というお返事。「どうしてcouldを使うか考えてご覧になりましたか?」と尋ねると「考えてません」というお返事。

 これでは英語力は伸びません。きつい言い方になりますが、このような方は教師を辞書と勘違いしているのです。また状況にもよりますが、こんな時にすんなりと「これは○○という理由でcouldを使うのですよ」と答えてしまう教師も考え物です。

 教師は生徒の身代わりになることはできないのですから、どうすれば生徒が自分で英語力を身につけられるか、その方向性を示すことが大事なのに、簡単に答えだけ与えるのは本当に生徒のことを考えているとは言えないでしょう。

 私は生徒の方に「ご質問は大歓迎です。しかし質問に来る前にはまず自分で調べてみて、自分なりの仮説を立ててきてください」とお願いしています。自ら調べ仮説を立てる中でこそ、つまり自分の頭で考えるからこそ英語力が身についていくからです。

4.相談することで安心してしまう

 学習カウンセリングは学習の方向性を考えたり、学習の進捗を確認する上で非常に有効です。しかしカウンセリングの受け方にも上手・下手があります。

 一概には言えませんが、あまり頻繁にカウンセリングを受けに来る人は英語の伸びが芳しくないように思います。

 そのような人は相談することで安心してしまっているからです。学習についての不安を吐露することは大切ですが、もっと大切なのはその不安と自分なりに付き合いながら、とにかく学習を前に進めることです。

 たとえば週1回のペースでカウンセリングに来る人は、ただ不安を聞いてもらっているだけということが多いように思います。わざわざ時間をかけて学校に来て、毎週同じような不安を30分も1時間も教師に聞いてもらうくらいなら、その時間を勉強に費やした方が良いのです。

 そもそも一度カウンセリングを受けて学習の方針が決まったら、少なくとも1か月はその方針に従って勉強に打ち込んでみないと、次の展開は考えづらいものなのです(ここでも安易にカウンセリングを受けてしまう教師の側にも問題があると思いますが…)。

 相談することは次の学習の展望を開くためには有効ですが、相談したからと言って英語力が上がるわけではありません。相談した内容に基づいてひたむきな努力が続けられるかどうかが英語力向上のカギなのです。

 ここまで英語力が伸びない人の共通点を考えてみました。
 まだ他にもありますが、それはまた別の機会にお話ししたいと思います。

 ひと言で、そしてやや厳しい言い方で言ってしまえば、「自分の英語力を伸ばしてあげられるのは、自分以外にはあり得ない」ということなのです。その点を念頭に置いている人は、やや根性論になるかもしれませんが、学習のハンドリングをうまく行い、英語力の向上に結び付けることができるように思われます。

5.この記事のまとめ

(1)英語力が伸び悩む人には共通の特徴が見られます。
(2)自己流にこだわりすぎて視野が狭くなっている
(3)学習にオリジナリティがまったくない
(4)自分の頭で考えることをしない
(5)相談するだけで安心してしまう

 最後まで読んでくださりありがとうございました。
 それではまた。ごきげんよう

 

調べるほどに実力アップ!? 注意したい辞書の使い方

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 みなさん、ごきげんよう

 辞書は英語を勉強する上で欠かすことのできない学習ツールです。この点に議論の余地はないでしょう。

 私も中学・高校生のころ、英語の先生から「辞書を引け!辞書を引け!」と毎日のように言われていました。そして未知の単語に出会ったら何はなくともまず辞書を引くことが習慣となっている時期がありました。

 しかし「ただ辞書を引く」だけでは実力アップにつながらないこともあります。辞書をあまりに頻繁に引くことが、英語力の向上をかえって妨げることもありうるのです。

 今回は注意したい辞書の使い方について考えてみたいと思います。

1.ツールの使い方は変化する

 まず念頭に置いておきたいことは、ツールの使い方は学習段階によって変化するということです。

 習得している語彙が500に満たない人と、すでに10000に及ぼうかという語彙を身につけている人では、学習に対するアプローチも学習ツールの使い方も異なっていて当然です。

 英語の勉強を始めた頃の学習方法にいつまでも固執している人や、学習の初期段階にも関わらず中上級者と同じ方法で勉強しようとしている人をしばしば見かけますが、それは有効な方法とは言えないでしょう。

 自分の学習段階やレベルを考慮した上で適切なツールの使い方をすることが実力アップには欠かせないことを、まずは頭に入れておく必要があります。

2.初期段階ではとにかく辞書を引く!

 学習の初期段階ではとにかく辞書を引くことは意味のある大事なことです。未知の単語が出てきたら、とにかく辞書を引きましょう。

 なぜならば学習の初期段階では「思考」に必要な最低限の知識がないからです。「思考」することは学習効果を上げる上でとても大切ですが、そのためには最低限の知識が必要です。

 たとえばフランス語の心得がまったくない人に、「"Est ce que vous avez le temps du boire un cafe maintenant?"はどういう意味ですか、「思考」してください!」と言ったところで、それは無理というものです。

 「思考」とは最低限の知識がなければできないわけですから、その知識を仕入れることが優先事項です。そのために辞書を引くことは有効なのです。

 それでは「必要最低限の知識」とは何でしょうか?
 私は中学1年で習う程度の知識を「必要最低限の知識」と位置付けています。この程度の知識があれば(もちろん充分ではありませんが)、少しずつ単語や文の意味を「思考」=「推測」できるようになります。

3.辞書を引く前に「思考」する

 学習がある程度進んできたら、辞書を引く前に「思考」することが大事です。未知の単語や表現が出て来た時に、即座に辞書に飛びつくのではなく一旦立ち止まって考えてみることです。

 思考することにはいくつかのメリットがあります。1つは正しく「思考力」を鍛えることです。私たちの母国語である日本語でもそうですが、すべての単語を知ることは不可能です。

 知らない単語が出て来た時にその意味を推測することが大切で、その「推測力」を鍛えるためには思考力を鍛えることが重要なのです。

 2つ目のメリットは思考するという手間をかけることで単語のインパクトが増し、結果として覚えやすくなるということです。

 リーディングの練習をしているときに知らない単語が出てきたら、前後の内容から意味を推測してみます。苦労すると思います。しかし苦労すればするほど、辞書を引いたときに「なんだ、そういう意味だったのか!」という感激があるはずです。

 この感激が単語に対するインパクトを増大させます。そしてインパクトが強ければ強いほど単語の記憶定着率は高まるのです。

 いきなり辞書を引いてしまってはこの感激がないのです。感激がないということは記憶定着率も低くなってしまうということです。

 このように辞書を引く前にまず思考することがとても大切です。

 ただしこれは学習がある程度進んできたあとですべきことです。最低限の知識がないのにこのやり方をしても時間が無駄になります。

 また学習に割くことができる時間も考慮してください。たとえばTOEICを受ける人で、試験まであと2週間しかない人がこのやり方をとっても効果は薄いでしょう。そんなときは思考を一旦脇に置いて、とにかく辞書を引くことも大事です。

4.辞書の定義にこだわり過ぎない

 これは文法学習が一通り終わった人が注意すべきことですが、辞書の定義にこだわり過ぎないことも大切です。

 もちろん私たちは辞書の定義を頼りとすることが多いのですが、そしてそれは悪いことではないのですが、言語は生き物です。時とともに変化します。

 辞書は毎年改定されるわけではありませんから、新しい単語や新しい使い方が載っていないこともあります。

 そんなときにいかに柔軟な姿勢を取ることができるかが非常に大切です。

 つい先日、ある生徒からいただいた質問を例に考えてみます。その生徒がやっている英検1級の問題集でこのような文が出てきました(正確な引用ではありません)

 It raises a lot of wondering about the theory.

 その生徒は「どれだけ辞書を引いてもwonderingという名詞は出て来ない。このwonderingは動詞ではないのか?」というものでした。

 英検2級あたりを受ける方からこの質問が出てくれば「いい質問ですね!」と答えるところですが、1級を目指している方からこの質問が出ると大変失礼ながら「その考え方では永遠に1級に手が届きませんよ…」と言わざるを得ません。柔軟性がなさすぎるのです。

 たしかにwonderingを名詞と定義している辞書は多くはありません(皆無ではありません、大きな辞書では名詞と定義しているものもあります)。しかし大切なのはそんなことではなく、a lot ofと形容詞的表現がついている以上、wonderingは名詞と考えれば済むと、それだけのことなのです。

 「辞書に名詞として定義されていないから、これは名詞ではない!」と意固地になってみても何の得もないのです。

 学習がある程度進んでくれば、辞書の定義以外のことを文の前後から想定することも大切です。このような柔軟性を持って辞書を使用することも大切なのです。

 今回は辞書に使い方について考えてみました。
 英和辞典を使うことを前提として議論を進めましたが、これ以外にも大切なことがたくさんあります。それはまたの機会にご説明したいと思います。
 また和英辞典や英英辞典の使い方についても機会をとらえてご説明したいと思います。

5.この記事のまとめ

(1)学習ツールの使い方は学習段階で変化します。
(2)学習の初期段階ではとにかく辞書を引きましょう。
(3)最低限の知識(中学1年程度)を身につけたら、辞書を引く前に思考する習慣を身につけましょう。
(4)中上級者は辞書の定義にこだわり過ぎないことも大切です。

 最後まで読んでくださりありがとうございました。
 それではまた。ごきげんよう

不安な気持ちをマネジメント!学習レコーディングのすすめ

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 みなさん、ごきげんよう

 一生懸命勉強しているのに、いまひとつ伸びている感じがしない…。誰しもそんな思いを抱くときがあるものですよね。
 しかしそこで勉強を止めてしまっては元の木阿弥。せっかく今まで積み重ねてきた努力の成果が大きく後退することにもなりかねません。

 今回は学習を継続していくために、どうやって不安な気持ちをマネジメントすれば良いかについて考えてみたいと思います。

1.英語力の伸び方とは

 そもそも英語力はどのように伸びていくのでしょうか?このことを考えるときには「実際の伸び」と「伸びの実感」を区別する必要があります。

 毎日正しい方法で頑張って勉強していれば英語力は必ず伸びていきます。学習量や学習時間、そこに費やした努力は正しい学習法を取っている限り決して裏切ることはありません。その意味で英語力の「実際の伸び」は努力と正比例すると言っていいでしょう。

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 しかし英語力の伸びの実感の仕方は実際の伸び方と異なります。実力アップの伸びを実感するのは階段状になるとよく言われます。つまり努力の成果をすぐに感じ取ることができない場合が多いのです。

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 ある程度の学習時間と学習量を積み上げた後で、「あれ?できるようになっている!」と感じることが多いわけです。
 努力しているのに実力アップを感じられない期間、これを私は「潜伏期」とか「踊り場」と呼んでいますが、この「踊り場」の期間をどう持ちこたえるかがとても大事なのです。

 努力していてもなかなか実力アップを実感できないと不安な気持ちになります。そこで今まで続けてきた正しい勉強のやり方を捨ててしまったり、英語の勉強自体を諦めてしまう人がいます。しかしそれでは、せっかく積み上げてきた努力が水の泡になってしまう可能性があります。

 私の指導経験上の実感ですが、学習効果がなかなか上がらない人には、この踊り場期間に踏ん張りがきかず、勉強法をコロコロ変えたり、あれもこれもと手を広げてしまう人が多いように思います。

 学習の成否を分けるのは継続ですが、この踊り場期間をどう耐えるかがまさに学習を継続できるかどうかの分かれ目と言えるでしょう。

2.踊り場期間は実力とともに長くなる

 厄介なことに、この踊り場期間は英語の実力が向上すればするほど長くなるものです。

 学習の初期段階では日々新しい知識に出会うことが多く、その知識を活用する練習さえできていれば、毎日のように英語力の向上を実感できます。「今日はこの表現を覚えた!」「今日はこんなことが言えるようになった!」と、比較的頻繁に英語力の向上を感じることができるでしょう。

 しかし学習が進めば進むほど英語力向上の実感は持ちづらくなります。また向上を実感したとしても、その伸び幅は学習の初期段階に比べれば小さく感じるかもしれません。

 ただ「実感ができない」ということと「伸びていない」ということはイコールではありません。正しいやり方で努力を続けていれば、実力は必ず伸びています。実力アップが感じられず辛い思いをしているときほど「努力は裏切らない」ということを思い出すことが大事です。

3.踊り場期間を乗り切るための学習レコーディング

 「努力は裏切らない」と信じていても、実際の英語力アップを実感できなければ心が折れてしまいそうになります。

 この辛い期間を乗り切るために有効なのが学習履歴の可視化ということです。学習したことを目に見える形にしておくことで「今は潜伏期だから伸びを実感こそできていないけれども、これだけの学習を積み重ねているから大丈夫だ!」という安心材料になると思います。

 この学習履歴の可視化を私は「学習レコーディング」と呼んでいます。学習した内容、学習に費やした時間、学習を通して感じたことなどを記録していきます。

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 これは私が実際に利用している学習レコーディングです。私はExcelでレコーディングをしています。学習時間の合計などが簡単にできるからです。

 このように記録を取っておくことで、たとえ上達が実感できなくとも、自分が積み上げてきた努力を確認することができ、「大丈夫!これだけやっているのだから!」という安心感を持つことができるでしょう。

4.学習レコーディングを作るときの注意点

 次の学習レコーディングを作るときの注意点を考えてみたいと思います。

(1)記録はシンプルに!
 学習レコーディングは自分の学習履歴を見直すためのものです。あまり詳しい記録を取ることはありません。記録を取ることが目的化してしまって、レコーディングの作成に時間がかかり、学習時間が減ってしまっては本末転倒です。「いつ」「なにを」「どれくらい」学習したかをシンプルに記録するようにしましょう。

(2)数値はきちんと記録しておく
 学習時間、学習した語彙の数、読んだテキストの数などはきちんと記録しておきましょう。ただ単に「Japan Timesを読んだ」だけでは、何本の記事を読んだのか、それにどれくらいの時間がかかったのかがあいまいで、あとから見直したときに学習量が把握できません。
 記事の中身などまで記録する必要はありませんが、少なくともどれくらいの数をどれくらいの時間をかけて読んだのかなどの数値は記録しておいた方が良いでしょう。

(3)週ベース、月ベースで記録する
 記録は週ベースで取ることがおすすめです。その1週間に学習したことを一覧的に分かるようにしておくことで、週ごとの学習のバランスや学習時間の推移が分かりやすくなります。
 その上で月ごとの記録もシンプルに取っておくとよいでしょう。月ごとのレコーディングは1か月の総学習時間を記録しておけば事足りますが、時間があればその月に聞いたニュースの総本数、読んだ記事の総本数、勉強した語彙の総数なども記録しておけば、安心材料としてより確かになります。

(4)学習の所感は簡素で良いから記録する
 学習を通じて感じたことは簡素でいいから記録しておくとよいでしょう。上手くいったこと、反省したことなど何でも構いません。
 学習していく上で「気づき」があるということは深い学習ができている証拠です。逆に学習する中でなんの「気づき」もないということは、学習が悪い意味で「自動化」(ただこなしているだけ)になっている可能性があります。
 「気づき」があるかどうかは学習がうまく進んでいるかどうかのバロメーターと言えるでしょう。

 学習レコーディングを行い、それをときどき見直すことで、たとえ伸びを実感できない踊り場期間でも必要以上の不安に駆られることなく、粛々と学習を進めることができます。

 また学習レコーディングを定期的に見直すことで、学習のアンバランスなどが見えてくるので、後の学習計画を立てる上でも有効です。

 英語力をつける上で最も重要なのは「継続」ですが、学習を継続するにはモチベーションの維持と不安のマネジメントが不可欠です。

 ぜひ学習レコーディングをうまく活用し、踊り場時期における不安な気持ちを乗り越えて、目標とする英語力を身につけましょう!

5.この記事のまとめ

(1)英語力向上の実感は階段式ですが、正しい努力を続けていれば実力は必ず向上しています。
(2)向上を実感するまでには潜伏期、踊り場時期があります。
(3)踊り場時期の不安を克服するには学習履歴の可視化=学習レコーディングが効果的です。
(4)学習レコーディングはシンプルに、数値はしっかりと記録し、所感を必ず書きましょう。
(5)学習レコーディングを見直すことで有効な学習計画を立てることができます。

 最後まで読んでくださりありがとうございました。
 それではまた。ごきげんよう

瞬発力を鍛えるための行動説明Self Talking

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 みなさん、ごきげんよう

 スピーキング力を高めるために有効だとされるのが「一人でブツブツしゃべること」、いわゆる「独り言英語」とか「独り言英会話」と呼ばれるやり方です

 私はこのやり方をSelf Talkingと呼んでいますが、中身は「独り言英語」と変わりません。ただ呼び方を変えてみただけですw

 Self Talkingはスピーキング力を高めるためにはとても有効で、私自身も自分の英語力を維持し向上させるために毎日行っています。

 今回はSelf Talkingがなぜ有効なのか、そしてそのやり方のヒントなどについて考えてみたいと思います。

1.上達には反復練習が欠かせない

 スピーキングを上達させるために欠かせないのは反復練習です。言いたいことをうまく言えるようになるまで何度も練習すること、上手く表現できないことは辞書などで調べつつ、自分なりに納得のいくまで練習することが大切です。

 しかしネイティヴを相手にしながら「うまく言えるまで付き合ってね!」と言って、10回も20回も同じことを繰り返すことはなかなか難しいことです。友達や知り合いのネイティヴ相手にこれをやってしまうと、相手にとって迷惑でしょうし、ネイティヴ相手のレッスンでこれをやるとレッスン時間がもったいないことになります。

 やはり反復練習は自分ひとりでコツコツと行うべきものなのです。このコツコツと独りで行う練習がSelf Talkingなのです。

 ネイティヴ相手のフリートークばかり行って、なかなか英語の上達を感じることができない人には、この反復練習=Self Talkingを取り入れていない人が多いように思います。逆を言えば、Self Talkingをうまく取り入れている人はスピーキング力がメキメキ向上していくのです。

2.まずは自分のことを話してみよう

 ではSelf Talkingを行うときにいったい何を話せばよいのでしょうか?

 まずは自分のことを話す、つまり自己紹介してみるとよいでしょう。
 ここで言う「自己紹介」とは単に、「私の名前は〇〇です。△△出身で、いまは××に住んでいます。年齢は□□です」などという通り一遍のものではなく、できるだけ深めてみます。

 名前を言うのであれば、その名前について少し踏み込んで話してみるとよいでしょう。たとえば「僕の名前は鈴木太郎です」だけであればあっと言う間に終わってしまいますが…、

「僕の名前は鈴木太郎です。鈴木の『鈴』は『bell』という意味です。『木』は『tree』という意味です。どうして僕の苗字が『鈴木』なのかは分かりませんが、『鈴木』という苗字の人はかなり多く、現在の日本では約〇〇万人の『鈴木』さんがいます。『太郎』という名前は伝統的に長男につけられる名前です。僕は3人兄弟の二番目ですが、なぜか両親は僕に『太郎』と名付けました。なぜ僕に『太郎』とつけたのか、今度両親に聞いてみようと思います」

 このように名前について踏み込んで説明してみれば、それだけでかなりの分量のSelf Talkingができます。その中で「現在の日本」とはどう表現すればよいか、「長男」はどんな言い回しをするのか、「今度」はどう言えばよいか、など色々と疑問が出て来るはずです。その疑問を解決しながらSelf Talkingを行えば、スピーキングの練習にボキャブラリービルディングの要素もプラスできます。

 ここで大切なのは「行き当たりばったりで話さない」ということです。

 先に述べた通りSelf Talkingには反復性が必要です。使う語彙や文法が毎回変わっていくのは問題ありませんが、話す中身自体がコロコロ変わるようでは反復になりません。まずはSelf Talkingで話す概要を箇条書きのメモなどにして置き、そのメモを見ながら話してみるとよいでしょう。

3.瞬発力を鍛えるなら行動説明を!

 反復練習を行うSelf Talkingでは話す内容をあらかじめ決めておきます。あまりガチガチに決める必要はありませんが、大まかに決めておくことが大事です。

 一方、瞬発力を鍛えるなら行動説明が有効です。行動説明とはいま自分が行ったことを英語で説明してみるというやり方です。

 たとえば勉強しているときにペンを落としてしまった、そのペンを拾うためにしゃがんだのであれば、その時に「私はいまペンを拾うためにしゃがんだ」と言ってみるのです。

 コーヒーを飲むためにお湯を沸かしたのなら「私はコーヒーを淹れるためにお湯を沸かした」と言ってみればよいでしょう。

 行動説明を行う時に大事なことは考え込まないこと。とにかく猛スピードで考えて、いま自分が行ったことを説明しようとしてみてください。この猛スピードで考えることによって英語の瞬発力を鍛えていきます。

 行動説明のメリットは他にもあります。自分の行動を説明しようとしてみると、自分の日常に関係の深い事柄なのにうまく表現できないことが見つかるはずです。「しゃがむ」とは何と言うのか、コーヒーを「淹れる」はどんな表現なのか、言えないことが見つかったら必ず辞書を引いて言えるようになるまで練習しましょう。

 高度な語彙を身につけることはもちろん意味のあることですが、日常的な表現をマスターするためには、まず「何が言えないのか?」を知ることが大事です。行動説明は「身近な事柄で言えないこと」を発見する絶好の機会になるでしょう。

4.この記事のまとめ

(1)スピーキングの上達には反復練習が不可欠です。
(2)反復練習にはSelf Talkingが有効です。
(3)まずは自分のことを深めて話してみましょう。
(4)瞬発力を鍛えるには行動説明をしてみましょう。
(5)行動説明は身近な「言えないこと」を発見する上でも有効です。

 最後まで読んでくださりありがとうございました。
 それではまた。ごきげんよう

ただの「おしゃべり」になってない?オンライン英会話の活用法

 

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 みなさん、ごきげんよう

 すでに多くの人が利用していたオンライン英会話でしたが、昨今の状況下で、さらに利用者が増えたのではないでしょうか?

 現在の状況で直接対面してレッスンするのは、生徒も教師も不安なものです。自宅で、自分のスケジュールに合わせて、しかも比較的安価にレッスンが受けられるオンライン英会話の魅力は大きいですよね。

 しかしツールはどう使うかが大事。毎日オンライン英会話でレッスンにいそしんでいるのに一向にしゃべれるようになっている気がしない、そんな声をしばしば耳にします。

 そこで今回は効果的なオンライン英会話の活用法について考えてみたいと思います。

1.英会話力が伸びるための必須条件とは?

 英会話力を伸ばすためには「たくさん話すこと」が必要だとよく言われます。それはまったくその通りなのですが、やや厳密性を欠いているように思われます。厳密には「うまく言えるようになるまでたくさん話すこと」が必要だというべきでしょう。

 なににせよ「学ぶ」ときには反復練習が必要です。ただ「話す」のではなく、うまく言えるまで繰り返し話す練習をしなければ短期間での向上は望めません。

 ここで言う「うまく」とは「100%正しい英語を」ということではありません。現在の自分の力で表現しうる正確さや出しうるスピードでいいのです。しかしそこに至るまではひたすら練習しなければなりません。そのようなひたむきな練習を重ねることで英会話力は進歩していくのです。

 以下、この点を踏まえてオンライン英会話の活用方法を考えてみたいと思います。

2.主導権を握ることが何より大事!

 オンライン英会話を活用するうえで最も大切なことは、利用する側が主導権を握るということです。初めのうちは大変かもしれませんが、「どういう目的でレッスンを受けるのか」を明確にして、その要望をきちんと教師に伝えることが大事です。

 私が普段、教室でご指導している生徒の方がオンライン英会話を利用方法について相談に来られるとき、特に初級レベルの方によくお伝えするのが、レッスンの最初に自分の要望をきちんと教師に伝えてくださいということです。

 発音のチェックを細かくしてほしいのか、文法の説明をしてほしいのか、単語や口語の使い方を教えてほしいのか、ただフリートークをしたいのか、ちゃんと伝えることが大事です。

 そしていざレッスンが始まって緊張してしまうと、自分の要望をうまく伝えられないことがあるから、要望を伝えるための英語はあらかじめ準備して練習しておいた方が良いともお伝えします。自信がなければ要望を伝えるための英語をメモ書きにして準備しておくのもいいでしょう。

 とにかく「今日はこれを勉強したい!」ということがはっきりしていなければ、そしてそれを教師と共有できていなければ、教師が一方的にしゃべって時間が終了したり、よく分からないままフリートークだけでレッスンが終わったりする恐れが多分にあります。

3.会話度胸や瞬発力をつけるならフリートーク

 オンライン英会話ではよくフリートークが行われます。間違っていてもいいから思い切ってしゃべるための会話度胸や、相手が言ったことに即座に反応する瞬発力を身につけたいならフリートークは有効です。

 フリートークをうまく機能させるためには、やはり自分の意思を教師に伝えることが大事です。「先生の言うことがよく分からず、ただニコニコしているだけで時間が終わってしまった」などということにならないためにも、自分の意思や状態をきちんと教師に伝えましょう。

 「もう少しゆっくりしゃべってほしい」
 「もう一度繰り返してほしい」
 「いま言った単語の意味を説明してほしい」
 「この話題は難しすぎるから別のトピックについて話したい」

 このように自分の意思や状態を教師に伝えることでフリートークをより実りのあるものにすることができます。

 フリートークは予習ができない分、復習が大事です。うまく伝えられなかったことなどがあれば即座にメモを取っておき、どう言えば良かったかを後で振り返ってみるのです。そしてそれがうまく言えるようになるまで反復練習します。このプロセスを省いてしまうと、フリートークはただの「おしゃべり」となってしまう可能性があります。

 また一度フリートークで話題となった事柄を、別の機会に別の教師と話してみるのも良いでしょう。以前は上手く言えなかったことが、ちゃんと伝えられるようになったかどうか確かめることができます。

4.きっちり学ぶなら予習は必須!

 教材を使ってしっかりと学ぶなら予習は必須です。前に述べたように英会話力を伸ばすためには反復練習が必須です。教材に沿ってうまくしゃべれるようになるまで何度も何度も練習していく過程の中で話す力は身についてきます。

 これはスポーツに例えると分かりやすいと思いますが、本番の試合に出ているだけでは強くなることができません。普段の地道な練習があってこそ力はつくのであり、その力を発揮する場が試合です。
 英語で言うならばネイティヴといざ話してみるのが本番の試合です。そこは実力をつける場ではなく、実力を試す場です。実力をつけるのは普段の反復練習です。

 教材の中に分からない単語があれば事前に調べておく、文法的な疑問があればこちらも調べてみる、そして問題に対する答えは何度も口に出して練習しておく(紙に書いて練習するのはおススメしません、実際の会話のプロセスと異なりますから)。

 英語力は結局のところ主体的な勉強と努力の中で育っていくのだと思います。ですから事前にできることはすべてやっておくことが重要です。

 そもそもオンライン英会話の多くは一回のレッスン時間がそれほど長くはありません。ですから分からないことすべてを(下調べなどをせずに)教師に教えてもらうのは時間ももったいないのです。

 しっかりと予習をした上でレッスンに臨むと、教師に尋ねたいことや直してもらいたいことが明らかになってきます。その点を重点的に習うことができます。これもまたオンライン英会話でこちら側(生徒側)が主導権を握るために大切なのです。

 オンライン英会話は上手く活用すると学習効果が非常に高いツールです。自宅に居ながらにしてネイティヴや非常に高度な英語力を持ったノンネイティヴと会話ができるのは大きな魅力です。最大限に活用して英語力に磨きをかけたいものですね。

5.この記事のまとめ

(1)英会話力を伸ばすには反復練習が必要です。
(2)オンライン英会話では生徒側が主導権を握ることが大事です。
(3)会話度胸や瞬発力を身につけるならフリートークが有効です。
(4)教材を使って学ぶなら予習をしっかりすることが大切です。

 最後まで読んでくださりありがとうございました。
 それではまた。ごきげんよう

「ネイティヴ感覚文法学習」で英語力は伸びるのか?

 

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 みなさん、ごきげんよう

 今回はネイティヴ感覚文法学習」で英語力は伸びるのか?について考えてみたいと思います。

 そもそも英語力、特に英会話力の習得のために英文法学習は必要かどうかという議論がありますが、私は英会話力習得のために英文法学習は必要だと考えています。その理由はこちらをご覧ください。

ela2020.hatenablog.com

 この記事では「英文法学習は必要」という観点に立って考えてみたいと思います。

 英文法の学習方法としてここ15年ほど注目を集めているのがネイティヴ感覚」を踏まえて英文法を学ぶという手法です。この火付け役は東洋学園大学教授・大西泰斗先生だと思います。2005年にNHKで放送された『ハートで感じる英文法』は私個人としてもかなり影響を受けました。

 大西先生には数々のご著書がありますが、研究社から出版されている『ネイティヴスピーカーシリーズ』はかなりおススメです。

 しかし我々ノンネイティヴネイティヴとまったく同じ感覚で英文法を習得することはできるのでしょうか?さっそく考えてみることにしましょう。


1.従来の文法学習法は否定されるべきか?

 従来の英文法学習方法は否定されるべきでしょうか?このことについて考える前に、従来の英文法学習方法がどんなものなのか見ておきたいと思います。ここでは不定詞を例に挙げてみます。

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 だいたいこんな板書や基本例文が紹介されるのではないでしょうか。「~すること」と訳せたら名詞的用法ですよ、「~するための」とか「~すべき」と訳すのが形容詞的用法ですよ。私も学校でそのように教えられました。

 この指導法はさすがに古典的すぎて、また英語の本質的な説明にもなっていませんが、用法を分類するという点には一定の意義があると私は思います。

 ネイティヴにとって「to+V」は「to+V」でしかなく、彼らは名詞的用法だの形容詞的用法だの考えているわけではありません。ちょうど私たちが日本語の「の」という助詞を使うときに、「いまは『連体格』の『の』、これは『連用格』の『の』!」などと考えないのと同じことです。

 この観点に立って「英文法学習は不要!」という人もいますが、私はそうは思いません。そもそも私たちはネイティヴではないのですから、ネイティヴと同じように英語を習得するのは無理があります(早期教育を受け、第一言語形成期の間に英語を習得するなら話は別ですが)。

 「分類する」ということは整理して理解するということですから、従来型の英文法学習には一定の意義があると言っていいでしょう。一概に否定されるべきではないと私は考えています。

2.日本語「訳」から英語を学ぶのは考えもの

 用法を分類するのは良いとして、日本語「訳」から英語を学ぼうとするのは考えものです。そもそも英語は日本語をもとに作られた言語ではないのですから、「日本語でこう訳せるから英語はこうなる!」という学習法は、学習の最初期段階ではやむを得ないこともあるでしょうが、できるだけ早く卒業すべきだと思います。

 英語をご指導しているとときどきあるのですが、「彼は売り上げを改善するためにスタッフたちを鼓舞した」と言おうとして"He motivated his staffs due to improve the sales."などという英語を作ってしまう方がいます。

 due toのtoが不定詞ではなく前置詞という認識がないということもさることながら、「due to」を「~のために」という日本語「訳」だけで把握してしまっているのです。よってこのような間違いをしてしまっているのです。

3.大切なのは「概念」を把握すること

 このように日本語「訳」だけで英語を学ぶのは、とんちんかんな間違いをする原因ともなりますし、そもそも「訳」などというものは意訳すればどうにでもなってしまいます。

 大切なのは「概念」を把握することです。それぞれの文法や表現が何を伝えたいときに使うものなのか、それを押さえておくことが大切なのです。

 先ほどの例でいえば「due to」は「原因」を述べたいときに使う表現です。言い換えれば「due to」の概念は「原因」だということです。一方「彼は売り上げを改善するためにスタッフたちを鼓舞した」という文が伝えようとしているのは「目的」です。スタッフたちを鼓舞した「目的」と伝えようとしているのですから「due to」の出番はありません。

 「目的」を伝えたいのですから「(in order) to V」「so that S V」などを使うべきところです。ところが「in order to V」は「~するために」と日本語「訳」だけで覚えている人は「売り上げを改善しようとして」とか「売り上げの改善を目指して」などと日本語を少しいじられただけで途端に英語が出てこなくなってしまいます。一方、「in order to V」は「目的」という捉え方ができている人は、少々日本語が変化したくらいでは動じることがなくなります。

4.ネイティヴ感覚文法学習の意義

 文法事項を分類しながら学習することは効果的ですが、日本語「訳」にだけ頼るのは望ましくない、「概念」を押さえることが大切だというのを一応の結論とした上で、文法学習にネイティヴ感覚を取り入れる意義を考えてみたいと思います。

 ここでも不定詞を例にしてみましょう。前述のとおり不定詞には分類的に3つの用法があります。なかでも厄介なのが副詞的用法で、代表的なものだけでも「目的」「感情の原因」「判断根拠」「条件」「結果」「形容詞の修飾」と6つの概念を持っています。

 私たちはノンネイティヴですからこの6つの概念分類をいったん学んでおくことは大切だと思います。しかしネイティヴにとっては「to V」は「to V」でしかない、というのは前に述べた通りです。

 一見すると全く異なるように見えるこの6つがどうして同じ「to V」で表現されるのか、そこにネイティヴが感じているニュアンスを知ることは、英語の理解と定着を深める上でとても意味のあることです。(この理由はまた別の機会に詳しく説明したいと思います)

 ネイティヴ感覚を理解することで、それまではバラバラに思えた文法事項が、有機的につながり整理されて、会話の上でもその文法の使いどころがより明確に見えてくるようになります。

 一方で、いきなりネイティヴ感覚だけを頼りに文法を理解しようとしてもなかなか難しいのではないでしょうか。繰り返しになりますが、私たちはネイティヴではないので、その感覚を理屈抜きに体に入れようとしても無理があると思われます。

 結論として「まず一度、用法分類という従来の文法学習の良い面を活かしつつ勉強し、そのあとでネイティヴ感覚を加味していく」というのがベストだと思います。この方法をとればより効率的に英語力を伸ばすことができると思います。私たちはノンネイティヴである以上、ノンネイティヴに適する学習方法をとることが何より大切だと言えるでしょう。

5.この記事のまとめ

(1)用法分類という従来の文法学習法には意味があります。
(2)日本語「訳」をもとにするという従来の文法学習には弊害があります。
(3)従来の文法学習の良い面を活かして学んだあとで、ネイティヴ感覚を加味するのがベストと言えます。

 最後まで読んでくださりありがとうございました。
 それではまた。ごきげんよう

記憶の定着を促すExcel単語帳の活用法

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 みなさん、ごきげんよう

 「覚えたことはやがて忘れる」これは人間の定めですよね。「忘れる」ことは生きていく上ではとても大事で、辛かったことや悲しかったことはいつまでも覚えていたくありません。

 しかし、英単語や口語表現となると話は別!一度覚えたら二度と忘れずにずっと記憶にとどまっておいてほしいものです。

 今回はExcelを使った単語帳の活用方法についてご紹介したいと思います。

1.単語は「4回目で覚える」という説

 「単語を覚えるためには同じ単語に4回触れなくてはならない」という説があります。頭の中でつながりかかっている回路が、単語に4回目に触れたときに完全につながり、記憶として定着するという説です。

 私は普段、主に社会人を対象に英語をご指導しているのですが、「4回目で覚える」説の話をすると、だいたい二通りの反応がみられます。

 「先生の言う通り!4回目に見た単語はほとんど忘れない!」と喜びに溢れている生徒もいれば、「10回見ても20回見ても覚えられない…」と悲しみのどん底にいる生徒もいます。

 言うまでもなく「ただ4回見る」だけでは覚えられません。大切なことは「そうだ!そうだ!こういう単語があった!」という体験を4回するかどうかです。「こんな単語、あったっけ??」という体験はいくら繰り返しても記憶には結び付きません。

2.Excel単語帳の作り方

 結局のところ、単語や口語が覚えられるかどうかは、いかに深く記憶に刻み込まれるかによります。言い換えれば単語のインパクトが大切なのです。

 単語にいかにインパクトを持たせるかについては

ela2020.hatenablog.com

でも詳しく述べていますので参考にしていただければと思います。

 今回はExcelを使って単語帳を作成し、それをうまく活用することで単語のインパクトを強化し、記憶を促す方法について考えてみたいと思います。

 まずExcelを使って単語帳を作ります。リーディングやリスニングなどの訓練をしているときに出てきた分からなかった単語を記録しておくのです。

 使っている単語帳(市販の本)に載っている単語を片っ端からExcelに打ち込んでいる人がいますが、それは時間の無駄だと思います。あくまでリーディングやリスニングをやっているときに出てきた未知の単語を記録していくようにします。

 記録する内容はできる限りシンプルにします。「単語(または熟語)」「語意」で充分です。品詞や発音記号も一緒に記録しておく人がいますが(それが全く意味がないとは思いませんが)、あまり細かく作りこみすぎると単語帳の作成作業にばかり時間がとられて、肝心の勉強が疎かになりかねません。

 また単語と熟語などをごちゃ混ぜに記録する人もいますが、後ほど述べるExcel単語帳の活用方法を考えると、単語と熟語は分けて記録する方が良いでしょう。同じExcelファイルに記録してもOKですが、シートは分けた方がいいと思います。

3.Excel単語帳の活用法(1)~毎日単語と会う~

 Excel単語帳は言ってみれば「学習した単語の一覧リスト」です。このリストに毎日「目を通すこと」が一番目の活用法です。

 かつてGoogle米国本社副社長兼Google日本法人代表取締役を務めた村上憲郎さんは著書『村上式シンプル英語勉強法』(日経ビジネス人文庫)の中で単語を覚えることを人の顔と名前を覚えることに例えています。そして人も英単語も毎日会っているから思い出せる、頻繁に会うから覚えているのだと主張されています。

 この主張はとても説得力があり参考になります。リーディングやリスニングの中に出てきた単語をリスト化しておいて、そのリストを使って毎日単語と会う、つまり「目を通す」ことを続けていれば、単語の定着率は高くなります。

 もちろん単語帳などを使って日々新しい単語に触れる方法もあります。しかしリーディングやリスニングの中で一度触れた単語は、せっかく記憶の回路がつながりかかっているのですから、それを放置しておく手はありません。リストにし毎日触れることで記憶を確かなものにすることができるのです。

 このときに大切なのはスピードです。とにかく「さっ」とリストに目を通すことです。そして意味が「ぱっ」と浮かばなかった単語には印をつけておき、改めて覚えなおすことにします。リストを見る作業はあくまで単語と毎日会うことが目的なのであまり深入りをしません。言い換えれば毎日単語と会うことで自分と「相性の悪い」単語を確認する作業程度に考えるとよいでしょう。

 この使い方は毎日英単語に触れることで記憶を促進する意味と、覚えにくい単語を絞り込むことで学習すべき対象を明確化するという2つの意味があります。

4.Excel単語帳の活用法(2)~出会いを振り返る~

 二番目の活用法はExcelの検索機能を活用し「単語との出会いを振り返る」というものです。

 これはあるリストがある程度充実してきたあとで効果を発揮します。リーディングやリスニングをしているときに意味の認識できない単語が出てきたら、いきなり辞書を引くのではなく、Excel単語帳でまず検索してみるのです。

 検索に引っかからない単語はいままで出会ったことのない、「はじめまして」の単語です。新しい単語との出会いを歓迎しましょう!

 問題は意味の分からなかった単語が検索に引っかかった場合です。検索に引っかかるということは、その単語とはすでに出会っているということです。出会っているけれども、覚えられていない単語だというわけです。

 ここで大切なことは「えーっ!」と思うことです。「一度触れたことがある単語なのに覚えられてない!」という意味の「えーっ!」です。もちろん悲観的になることはありません。ほとんどの単語は一発で覚えるのは難しいものです。後ろ向きな「えーっ!」ではなく前向きな「えーっ!」と感じましょう。つまり「今度こそ覚えてみせる!」というポジティヴな気持ちを持つことが大切です。

 この前向きな気持ちが単語に対する「インパクト」を高めるわけです。そして記憶を促進してくれます。

 検索に引っかかった単語は網掛けで着色しておきます。初めてリストに記録した単語には着色はいりません。初めて検索に引っかかった単語には着色します。「この単語は過去に一度調べていたが覚えていなかった」という印です。言い換えれば「この単語は二度触れている」という印です。

 二度目に検索に引っかかった単語は違う色で着色し直します。「この単語が三度目に触れた」という印、三度目に検索に引っかかった単語はさらに違う色で着色します。「この単語は四度目に触れている」という印です。(ちなみに私は二度目に触れた単語には青、三度目の単語が黄色、四度目の単語は赤で着色します。信号と同じで徐々に「危機感」が増す感じです)

 単語につく色が変わるたびに「えーっ!」が大きくなるはずです。「三度目に触れたのに覚えてない!」「四度目なのにまだ覚えてない!!」といった具合です。繰り返しになりますがこの気持ちが単語に対するインパクトを高めるのです。

 気を付けたいのは二度目、三度目、四度目と単語に触れる回数が増えるにつれて「そうだ!そうだ!こんな単語があった!」という感覚を持つことができているかどうかです。この感覚が持てているということは記憶の回路が着実につながりつつあるということです。記憶の定着が近づいています。逆にこの感覚が持てていないということは単語の覚え方の根本に問題があります。

 というわけでExcelの検索機能をうまく活用することで単語との出会いを振り返り、単語に対するインパクトを高めることができます。そして記憶の定着を促すことになるのです。

 新しい言葉を知ることは世界を広げることだと言われます。単語覚えはたしかに苦しい作業かもしれません。しかし苦しさを乗り越えて身に着けた単語は必ず私たちの助けとなってくれます。さあ、恐れることを止めて、新たな言葉との出会いを楽しみましょう!

5.この記事のまとめ

  1. 単語を覚えるには単語に対するインパクトを高める必要があります。
  2. Excel単語帳を作るときは「シンプル」を心がけます。
  3. Excel単語帳を使ったリストで毎日「単語に会う」ことが大切です。
  4. Excel単語帳の検索機能を利用して単語の出会いを振り返り、単語に対するインパクトを高めましょう。

 最後まで読んでくださりありがとうございました。
 それではまた。ごきげんよう